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【主催】2021年9月2日開催 スラブ・ユーラシア研究センター・公募研究プロジェクト連携セミナー「北方史と南方史の邂逅」

 2021年9月2日(木)に、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・公募研究プロジェクト連携セミナー「北方史と南方史の邂逅」が開催されます。北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターは、共同利用・共同研究拠点として公募による事業を行っています。今回は、その柱の一つであるプロジェクト型のものから、サハリンを中心とする「北方史」プロジェクトと奄美を中心とする「南方史」プロジェクトの研究者たちによる合同セミナーを開催するはこびとなりました。セミナーの前半はそれぞれの班のメンバーによる報告と討論の模様をお届けします。後半では視聴者にも参加いただき、より広がりのある議論を展開する予定です。ぜひ近現代日本の北方史と南方史に関心を寄せるみなさまの参加を期待します。

共催:NIHU北東アジア地域研究事業・北大スラブ研拠点(NoA)境界研究ユニット(UBRJ)

*プロジェクトの詳細についてはこちら

https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/collaboration/index21.html#project

 

ご関心のある方の参加を歓迎いたします。奮ってご参加ください。

 お問合せ先:join_us[at]slav.hokudai.ac.jp

 詳細は、下記のポスターをクリックしてご覧ください。

 

(報告)

「日露戦前期におけるサハリン島の漁場経営―日本人漁家:岡田八十次家を中心に―」

                          菅原慶郎(小樽市総合博物館)

「境界領域における国民化の諸相―明治期の与論島における民俗宗教の変容―」

                        町泰樹(鹿児島工業高等専門学校)

(コメント)

          平井一臣(鹿児島大学法文学部)/醍醐龍馬(小樽商科大学商学部)

(司会)

               岩下明裕(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター)

 

(報告要旨)

「日露戦前期におけるサハリン島の漁場経営日本人漁家:岡田八十次家を中心に

                       菅原慶郎(小樽市総合博物館学芸員)

 本報告の主たる目的は、明治20~30(1887~1897)年代のロシア領サハリン島アニワ湾内で展開された岡田八十次家(滋賀県在住)によるニシンとマスの漁場経営の変遷について、

 日露戦争による日本とロシアとの国境を巡る影響も意識しながら、明らかにすることである。北海道の北に位置するサハリン島、とりわけ南部の支配をめぐっては、江戸後期から継続的に日本とロシアの狭間で揺れ続けている。その間、日本からみると、ニシンなどの海産物を中心とした供給地の一つとして存在し続けており、その延長線上に本発表があることを付記しておきたい。

 

「境界領域における国民化の諸相明治期の与論島における民俗宗教の変容

                      町泰樹(鹿児島工業高等専門学校准教授)

 近代国民国家の形成過程においては、新たな制度が整えられるのと同時に、領域内の人々にもまた、それにふさわしい国民への変容が迫られることが知られている。本発表では、こうした国民化が、近代日本の境界領域においてどのように展開されたのかに関心を寄せる。境界領域にスポットを当てるのは、国民化を進める国家の側の動向やまなざしが、中央部よりも周縁部において、より先鋭的かつ顕著に示されると考えるためである。本発表で取り上げる与論島は、鹿児島県の最南端に位置しており、大和(あるいは薩摩、鹿児島)と琉球(沖縄)との間の境界の島といえる。明治期の与論島における民俗宗教の変容を検討することで、国民化の過程が境界領域の人々の生活において、どのように展開されたのかを明らかにしたい。