【関連セミナー/エッセイ】「『一帯一路』と北東アジア地域開発」:延吉国際会議で報告
中国社会科学院中国辺疆研究所(邢広程所長)が毎年、中国の国境地域で持ち回りで開催する国際会議が、2019年11月16日に吉林省延吉市で開催されました。本プロジェクトの岩下も招待され、会議の主要テーマのひとつであるボーダーツーリズムに関する基調報告として「北東アジア国境の旅:日本から中露国境を探る」を講演しました。この報告は北東アジア地域のコミュニティづくりを目指す本プロジェクトの成果でもあります。
外国からはモンゴルの著名な研究者も招かれていましたが、北朝鮮に近い朝鮮族のまちということもあり、韓国から多数の専門家が参加し、DMZや金剛山観光も話題になりました。地元の研究者が図們江をめぐる観光の進捗や将来性についての興味深い報告がなされました。
ソウルから延吉にはわずか2時間。多くのフライトがあるようです。韓国の代表団は会議にあわせて、北朝鮮との国境沿いを見学し、輝春市のロシアとの通関所、防川の中朝露国境地帯などを訪問したとのことで、現地の雰囲気をいろいろ教えてもらえました。2020年にこの地域で私たちが計画している中露国境ツアーの下準備にもなるいい機会となりました。
他方で、1990年代に開発ブームも迎え、北東アジア地域づくりの起爆剤と目された図們江流域が直面している課題は、当時とあまり変わっておらず、地域づくりを進める難しさも改めて痛感しました。 (岩下明裕)