【主催】2021年10月22日(金) 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・セミナー「第二次ナゴルノ・カラバフ紛争:境界への影響と地政学的変動」
2021年10月22日(金)に、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターでスラブ・ユーラシア地域を中心とする境界・国境研究「第二次ナゴルノ・カラバフ紛争:境界への影響と地政学的変動」(オンライン)が開催されます。
趣旨:
2020年9月27日から11月10日まで、アゼルバイジャンとアルメニアの間でいわゆる「第二次ナゴルノ・カラバフ紛争」が勃発した。かつてとは異なる、UAVなどが多用された現代戦による戦いが注目を浴びた戦闘は多くの被害を出したものの、アゼルバイジャンが事実上の勝利をするかたちで和平合意が結ばれた。
その結果、かつてアルメニア人勢力が占拠していたナゴルノ・カラバフと周辺の緩衝地帯のうち、緩衝地帯の全て、そしてナゴルノ・カラバフについてはその約40%の領土をアゼルバイジャンは奪還した。そして、アルメニア人勢力が死守したナゴルノ・カラバフ領にはロシアの平和維持軍が停戦監視に入ることとなった。他方、アルメニア本土とナゴルノ・カラバフを結ぶ新しい回廊がアゼルバイジャン領経由で建設されることになり、それと引き換えにアルメニア南部のイランに接する国境部分が、アゼルバイジャン本土と飛び地・ナヒチェヴァンを結ぶ回廊としてアゼルバイジャンに提供されることになった。なお、アゼルバイジャンとナヒチェヴァンを結ぶ回廊については、ロシアのFSBが停戦監視を行うこととなっている。
この新しい展開により、当地の「境界」に大きな変化が生まれただけでなく、地政学的な変動が顕著となっている。特にロシアは軍事プレゼンスを展開できるようになり、トルコはナヒチェヴァン経由でアゼルバイジャンと地続きになり、またカスピ海経由で中央アジアとも結ばれた。南部の回廊に展開されると考えられている鉄道の影響も大きいと見られている。そして、アゼルバイジャンの中央アジアにおける影響力も急速に強くなっている。しかし、イランの地域における影響力については翳りが出そうである。
そして第二次ナゴルノ・カラバフ紛争で生まれた地政学的変動は、アフガニスタン情勢によって生まれた地政学的変動とも連動し、より大きな変化を生み出す可能性が高い。
このように第二次ナゴルノ・カラバフ紛争の影響は、当地の境界に変化をもたらしただけでなく、地政学的にもかなり大きいと言える。本ワークショップでは、この状況を、ナゴルノ・カラバフ紛争に関わりの大きい国々を専門とする研究者による分析で明らかにする。
日時:
10月22日(金)15:30-17:30
開催形態:
オンライン Zoomのウェビナー
ご関心のある方の参加を歓迎いたします。奮ってご参加ください。
お問合せ先:join_us[at]slav.hokudai.ac.jp