NEWS&EVENT

【開催報告】The 1st International Joint Conference between RCCZ and UBRJ “Macro-Micro Relations in East Asia and Contact Zones: Regime・Crevice・Hybrid in East Asia’s Relations”

2019年4月12-13日に韓国の中央大学校で国際会議「Macro-Micro Relations in East Asia and Contact Zones: Regime・Crevice・Hybrid in East Asia’s Relations」が開催されました。本会議は、中央大学校に2018年に創設された「境域における和解と共生研究センター」(Reconciliation and Coexistence in the Contact Zones (RCCZ) Research Center) と北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター境界研究ユニット(UBRJ)の共催でした。プログラムはこちら

 

会議は三つのセッションで構成され、NoA-SRCからは拠点メンバーの池直美(北海道大学)、テッド・ボイル(九州大学)、加藤美保子(北海道大学)が参加しました。第一セッション「Multiple Characteristics in the Contact Zones of North Korea, China, and Russia」(北朝鮮、中国、ロシアの境域における多様性」では加藤がプーチン政権の北朝鮮政策をグローバル・リージョナル・ローカルという国際秩序の三つのレベルから論じました。また、国民大学校のChulhyun Park教授の報告は、国境都市である中国吉林省琿春市の発展と変化を外圧だけでなく国内要因も合わせた両面から再検討するものでした。

第二セッション「The North Korean Cohabitation and Diaspora in the Post-Cold War Era」(ポスト冷戦時代の北朝鮮との共存とディアスポラ)では、池が中国、韓国を行き先とする脱北者の女性達が直面する人権侵害、暴力、搾取などの問題を取り上げました。また、ボイルは中朝国境に焦点を当て、国境の機能を制度、プロセス、空間という三つの観点から考察しました。

第三セッション「Solidarity of Minorities in the Contact Zones of East Asia」(東アジアの境域におけるマイノリティの連帯)では、中央大学校のKyunghwa Lim教授が日本社会におけるマイノリティとして位置づけられる沖縄の人々と在日朝鮮人のアイデンティティの変化と相互連帯について論じました。また、成均館大学校のHyein Han教授は、強制労働と慰安婦の問題を歴史資料に基づいて明らかにし、大日本帝国による植民地支配の責任を指摘しました。

国際秩序や国際都市が直面している問題から、国家の枠組みでは捉えきれない移動する人々の問題、国家の内側でマイノリティに位置づけられる人々が抱える問題に焦点を当て、マクロとミクロの双方の視点からコンタクト・ゾーン(境域)の実態を率直に議論する有意義な会議でした。

二日目の4月13日は、韓国側の非武装地帯(DMZ)および旧米軍基地であるCamp Greaves跡地を見学しました。観光地化された韓国側のDMZでは、公式ガイドの方の解説を聞きながら、南北境界地域の様子を展望台から眺めることができました(写真左)。また、Camp Greaves跡地では、RCCZが準備に関わったという中立国監察委員会(NNSC: Neutral Nations Supervisory Commission, 1953年7月設立。ポーランド、チェコスロヴァキア、スウェーデン、スイスの4カ国で構成。)の資料展示を見学し、朝鮮戦争直後の様子を記録した写真や、戦争孤児たちの支援事業に関する記録を目にする貴重な体験をすることができました。

(文責:加藤美保子)